魔法のいらないシンデレラ 3
「それは、まあ、確かに結婚は遠のくかもしれないけど…」

そう言って小雪がうつむいた時、山下が急に張りのある声で言った。

「その点ついては、どうぞご心配なく。私は小雪さんとの結婚を真剣に考えております」

は?と、小雪と両親は、鳩が豆鉄砲食ったような顔で山下を見る。

「それに私と結婚すれは、ひとり暮らしの心配もいりません。職場もたいてい同じですし、安心して大好きな保育士の仕事を続けられます。それに私も、早く子どもが欲しいと思っております。問題は全て解決出来るかと」

自信満々で皆の顔を見る山下に、小雪が驚きつつ声をかける。

「りょ、稜さん。私、稜さんと結婚するの?」
「ああ、そうだよ。だめか?」

小雪は、ブワッと目から涙を溢れさせた。

「だめじゃない!結婚する!」
「よし」

山下は小雪に笑って頷くと、両親に向き直る。
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