魔法のいらないシンデレラ 3
「この先もずっと小雪さんをお守りします。彼女が大好きな仕事をするのを、私も全力で応援します。そして必ず小雪さんを幸せに致します。どうか、小雪さんと結婚させて下さい」

山下は、これ以上ないくらい頭を下げる。

「お父さんお母さん。私、稜さんにいつも助けてもらってたの。いつも支えてもらって、守ってもらってたの。だから今度は、私も稜さんを支えたい。稜さんのそばで、ずっと一緒にいたい。そして必ず幸せになる。だからお願い、稜さんと結婚させて下さい」

小雪も山下と並んで頭を下げた。

驚いた両親が、長い沈黙の後、ようやく口を開いた。

「えーっと、結婚したら、ひとり暮らしの心配をしなくていいんだよな?オラオラ詐欺にも引っかからないように、見ていてもらえるんですよね?」

父親がまた間違えてそう言うが、山下は真剣に頷く。

「はい、もちろんです」

母親も、確かめるように呟く。

「小雪も、戻りたがってた東京に戻れるのね?大好きな子ども達にまた会えるのよね?」
「そうなの!お母さん」

だんだんと、父親の顔がほころんでいく。

「それに、結婚したら、孫の顔も見られるんだよな?」
「はい。一人と言わず、二人でも三人でも、早く子どもが欲しいと思っています」
「えっ!稜さんったら」

小雪が照れたように頬に手を当てた。

「そしたら、問題は全て解決…って事だな?」

父親が皆を見渡し、三人は大きく頷く。

「よし!決まりだ」

満面の笑みで父親が高らかにそう言うと、わあっとその場が一気に盛り上がった。

「良かったわねー、小雪」
「うん!ありがとう、お父さん、お母さん」
「山下さん、どうぞ娘をよろしくお願いします」
「はい、必ず幸せに致します。こちらこそ、よろしくお願い致します」

最後に山下と小雪は、見つめ合って微笑んだ。
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