魔法のいらないシンデレラ 3
麗華は、瑠璃のふっくらしたお腹にも気付き、産まれたら教えてねーと言ってから、颯爽と去って行った。

「さ、さあ、すみれ。お庭に行ってみようね」

固まったままの一生を横目で見てから、瑠璃はすみれの空いている方の手を繋ぐ。

歩き出すと、すみれに引っ張られるようにヨロヨロと一生もついてくる。

(大丈夫かしら?今からこんなので…)

瑠璃は、こっそり苦笑いした。

(それにしても麗華さん、とっても生き生きしてたなあ。笑顔もキラキラ輝いてて…)

ふと、初めて麗華に会った時の事を思い出す。

麗華は、自分のこの先の人生に悩んでいるようだった。

そしてその悩みは、誰よりも瑠璃が1番良く理解出来た。

「…私も幸せになれるかな?」

弱々しくそう聞いてきた麗華に、瑠璃は力強く頷いてみせたっけ。

(麗華さん、今はとっても幸せそう)

瑠璃は嬉しくなって、思わずふふっと微笑んだ。
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