魔法のいらないシンデレラ 3
「将来的には子どもが増え、大きな家で家族仲良く暮らします…って、これ」
「めでたし、めでたし」
「いや、めでたしじゃなくて…。叶恵、子ども欲しかったの?」
「え?もちろん。響さんは?」
「もちろん欲しいよ!でも、叶恵は違うと思ってた」

は?と叶恵は怪訝そうな顔をする。

「なんで?私、そんな事言った?」
「だって、結婚してしばらくした時、仕事をまだまだ頑張らないとって。瑠璃さんと一生さんのサポートもしっかりやりたいって言ってたじゃない」
「うん、それが?」
「あまりにそう繰り返すから、てっきり俺、今は子どもの事は考えられないって意味かと思って。だから妊娠しないように気を付けて…」

ええー?!と叶恵は仰け反る。

「ちょ、ちょっと待ってよ。私、すみれちゃん見るたびに、あ~可愛いなー、早く私も赤ちゃん欲しいなって思ってたのに」
「ええー?早く言ってよ。俺だってそう思ってたんだから」

はあー?!と、叶恵はもはや気の抜けた返事しか出来なかった。

「な、なんてこと。それじゃあ結婚してからこの3年間、ずっと勘違いしてたってこと?」
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