魔法のいらないシンデレラ 3
社長は、背もたれに身体を預けながら大きく息を吐く。
「お前、それは、とてつもなく大掛かりな事だぞ?」
「分かっています」
「時間だってかかるし、お金だって相当な額が必要だ。ホテルをそっちのけで取り組むほどの事なのか?よく考えろ」
「ホテルをないがしろにするつもりはありません。なるべくコストを抑え、まずは良い物件を買い取って社員に貸す方法を探ってみます」
しばらくの沈黙の後、社長は瑠璃に問いかける。
「瑠璃ちゃんは?社員の一人としてどう思う?」
「はい。私はこのホテルのスタッフは、皆とても優秀で、誰もがなくてはならない存在だと思っています。ここで働くことを好きでいてくれる人達が、何かの事情で退職を余儀なくされるのは、とても悲しいことです。信頼出来る仲間や先輩方と、私はこの先も出来るだけ長く一緒に働きたいです」
そこまで言って少し考えてから、瑠璃はまた社長の顔を見上げる。
「たとえ建物や内装や設備が整っていても、スタッフがいなければホテルは成り立ちません。ホテル フォルトゥーナ東京にとって何よりの財産は、建物ではなくスタッフだと思います」
長い長い沈黙が続く。
一生と瑠璃が、両手に力を込めて待っていると、やがて社長は大きく頷いた。
「お前、それは、とてつもなく大掛かりな事だぞ?」
「分かっています」
「時間だってかかるし、お金だって相当な額が必要だ。ホテルをそっちのけで取り組むほどの事なのか?よく考えろ」
「ホテルをないがしろにするつもりはありません。なるべくコストを抑え、まずは良い物件を買い取って社員に貸す方法を探ってみます」
しばらくの沈黙の後、社長は瑠璃に問いかける。
「瑠璃ちゃんは?社員の一人としてどう思う?」
「はい。私はこのホテルのスタッフは、皆とても優秀で、誰もがなくてはならない存在だと思っています。ここで働くことを好きでいてくれる人達が、何かの事情で退職を余儀なくされるのは、とても悲しいことです。信頼出来る仲間や先輩方と、私はこの先も出来るだけ長く一緒に働きたいです」
そこまで言って少し考えてから、瑠璃はまた社長の顔を見上げる。
「たとえ建物や内装や設備が整っていても、スタッフがいなければホテルは成り立ちません。ホテル フォルトゥーナ東京にとって何よりの財産は、建物ではなくスタッフだと思います」
長い長い沈黙が続く。
一生と瑠璃が、両手に力を込めて待っていると、やがて社長は大きく頷いた。