魔法のいらないシンデレラ 3
「それでは、『社員の生活環境整備プロジェクト』第一回リーダーミーティングを始めます。まずは、総支配人よりひとことお願いします」

会議室に集まった面々を前に、司会の早瀬がそう言って一生を促す。

一生は、ぐるっとメンバーを見渡してから口を開いた。

「皆、忙しいところを集まってもらって申し訳ない。せっかく貴重な時間を割いてもらっているのだから、有意義な話し合いの場にしたい。よろしく頼む」
「はい」

皆が返事をすると、一生は手元の資料に目を落として、話を続ける。

「今回、このプロジェクトを立ち上げた理由はただ1つ。君達社員に、気持ち良く仕事を続けてもらうためだ。長く働いてくれていると、プライベートで様々な生活の変化が起こると思う。だが、それによってキャリアを諦めたり退職したりする事は、どうか避けて欲しい。日々の生活に幸せを感じながら、ここでの仕事も楽しんで続けてもらえるよう、会社として出来る事を精一杯援助させてもらいたい。どうか、その為の知恵を皆も出し合ってくれ。一緒に良いプロジェクトにしていこう」
「はい!」

一生の真剣な言葉に、メンバーも頷いて返事をする。
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