バレンタインチョコと四人の恋
「これとこれとこれを重ねてホチキスで留める。それを全校生徒分やって」


「あ、うん。わかった」




碧山くんは空いていた席に腰掛け、私が言ったことに取り掛かり始めた。





…一時間が経った。




「…碧山くん、できた?」


「あ、あとちょっとで…ってうわ!」




パッと顔を上げた拍子に積み重ねていた出来上がっている冊子を碧山くんが全て落とし、盛大に床に散らばる。




「あはは、何してんの碧山くんー」


「つーかこれ、間違ってねぇ?」


「え、嘘!?…わ、本当だ、間違えて二個つけちゃってる…てことは、違うのも…」




ミシッとシャーペンを持っていた手に力がこもる。


もう一時間が経ったというのに碧山くんはずっとこの調子で、簡単な作業もまともにできていない。


会長が連れてきた人だから多少は役に立つかと思いきや、イライラするくらいに不器用だ。
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