バレンタインチョコと四人の恋



生徒会室にはまだ、誰もいなかった。


そわそわしながら椅子に腰掛け、今朝何回も練習してやっとできたチョコレートケーキが一切れ入っている箱を、机の上に置く。



今から気持ちを伝えると考えると落ち着かない。


今まで恋愛なんて、と散々けなしてきたけど、その恋愛を私も今体験しているのかと思うと笑えてくる。



誰に嫌われてもどうでもいいと思っていたのに、そんな私を見捨てないで優しく受け止めてくれた碧山くんに救われた。


碧山くんがいなかったら今の私はいない。




「…あなたと出会えてよかった」




まだ本人がいないというのに漏れ出した本音は静寂に消えていった。


今日だけは、素直に私の気持ちを隠さず伝えよう。この、想いを全て。
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