バレンタインチョコと四人の恋
「服、似合ってるね」


「え…っ!あ、ありがとう…」




まさか褒めてもらえるなんて思っていなかったから、急なことに恥ずかしくなるがそれよりも嬉しかった。


碧山くんがもらったというケーキバイキングのお店は、外見はもちろん、中もおしゃれでケーキの種類も豊富だった。




「ほ、本当にこれ、タダ…?」


「うん。…ふっ、あはは!実は、半分無理矢理連れてきちゃったようなもんだから、もし初音さんが甘いもの嫌いだったらどうしよう、ってちょっと心配だったんだけど、大丈夫そうだね」


「嫌いだなんて…!むしろ甘いもの大好きだから、誘ってくれてありがたいです…。ありがとう」




遠足の日のわくわくが止まらない子供のような気持ちで、並ぶケーキたちを見渡す。


どれも美味しそうで何を取ろうか迷う。どうしよう、本当に迷う。



迷った末、四個ほどのケーキを持ってテーブルに戻ると、碧山くんは私よりも多い六個のケーキと共に待ってくれていた。




「迷いすぎて、たくさん持ってきちゃった」


「私も。せっかくの無料なんだから、今日はたくさん食べないとね…!」
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