バレンタインチョコと四人の恋
「だから、麗も告白して。無理にとは言わないけど、私に相合傘したこととかケーキバイキングまで一緒に行ったのを黙ってた罰!私だけ勇気出すなんて、フェアじゃないでしょ?」


「え、ええ…!こ、告白なんて、私には…」




無理、と言いかけてハッとする。



依茉ちゃんは怒ることなく笑顔で私の気持ちを受け止めてくれ、「ライバルだ」と言ってくれたのに、私はまた自分の気持ちから逃げるの?


ううん、それじゃあダメだ。もういい加減、誤魔化すのはやめよう。




「うん、わかった…!私もバレンタインの日に告白、するよ」




振られることなんて、わかりきっている。


それでも、一歩勇気を踏み出すだけで、何かが変わるそんな気がするから。


だから、この気持ちを、碧山くんにちゃんと伝えよう。





何回も失敗を繰り返しながらやっとできた、一番形のいいチョコマフィンを入れた紙袋を、ぎゅっと握る。



放課後になっても碧山くんになかなか話しかけにいけず、結局教室に行けた時にはどこかに行ってしまっていた。


すれ違わないようにと靴箱で待つこと一時間。



碧山くんは全然来る気配がない。
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