バレンタインチョコと四人の恋
コントローラーを探していた宙翔がふと振り返って尋ねてきた。




「平気だよ。ちゃんと勉強してるし息抜きも大事でしょ!」


「ははっ、まあ彩葉なら大丈夫か」




ポンポンと何気なく頭を撫でられドキリとする。



いつからだろう。宙翔にドキドキするようになったのは。


気づいたら宙翔に対する想いが、幼なじみとしての好きだけではなくなっていた。



多分宙翔が小学校に入ったあたりにはもう好きになっていて、それから現在までずっと一途に宙翔を想い続けている。


宙翔が中学生になった頃からはお互い学校生活が忙しく、一緒にいる時間は昔よりも減ってしまったけど、それでも想いが変わることは一度だってなかった。


私はいつだって宙翔だけを見てきた。



この気持ちを受験が終わってから宙翔に伝えようと私は決めている。





「彩葉ー!」




合格発表の日がたまたま同じだった親友・咲希(さき)と待ち合わせしていた駅に着くと、私に気づいた咲希が泣きながら抱きついてきた。


その様子を見ただけで結果がどうだったのかは一目瞭然だ。
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