バレンタインチョコと四人の恋
どきりと心臓が飛び跳ねる。


考えないようにしていたのに、今から緊張してきてしまった。




「やっと長年の恋に終止符が打たれるんだねー。で、どうなの。いけそうなの?」


「どうって…。いけそうかはわかんないけど、私は伝えられたらそれでいいかなって」




いつまでも想っているだけじゃ、意味がない。


ちゃんと宙翔にこの気持ちを伝えて、できたら付き合えたらいい。




「ふぅーん。今の関係でも十分おいしいと思うけどなー。幼なじみって一番近いじゃん。もしかしたら振られるかもしれないのに、それでもやっぱ告白するの?」


「うーん、幼なじみって、一番近いようで一番遠いんだよ」




今の関係を今日、自分から壊してしまうのはたしかに怖いし気が引ける。



それに多分宙翔は、私のことをただの幼なじみだとしか思っていないと思う。



幼なじみは誰よりも一番近い距離にいれるけど、距離が近すぎてもはや家族みたいなものだ。


私みたいに恋する人だっているだろうけど、大抵は家族止まりになってしまう。それは宙翔もなんだろう。
< 65 / 90 >

この作品をシェア

pagetop