バレンタインチョコと四人の恋
雨が容赦なく傘を叩きつけてきて、今にも壊れそうで少し心配になる。



少し濡れてしまった制服が重たく、一度着替えてから宙翔の家に行こうと考えていると、少し遠くに見慣れた後ろ姿を見つけた。


宙翔だ。




「ひろ…」




宙翔に駆け寄ろうと近づくと、隣に同じ制服を着た女の子がいることに気がついた。


小さくて華奢な女の子で、最初は気がつかなかったが二人は相合傘をしながら歩いていた。



ひゅっと言葉が引っ込んで、その場から動けなくなった。



…あれは、誰?


もしかして…宙翔の彼女…?



そうだ。どうして私は宙翔には彼女がいるかもとか考えなかったんだろう。


いや、考えたくなかったんだ。


彼女がいたら、私の気持ちは伝えられなくなるから。
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