バレンタインチョコと四人の恋
言われた通り待っていると、二階から宙翔が何かの袋を持って戻ってきた。




「はい、これ。合格祝い」


「え?」




驚いて中を確認すると、私が少し前に宙翔の家に行った時に、テレビの広告を見てほしいと言っていたメイクセットが入っていた。




「え、なんでこれ…。私がほしいって言ってたやつ…?」


「うん。彩葉が受かったら買いに行こうと思ってたんだけど、この前あとちょっとでなくなりそうだったから、もう買っといたんだ。どうせ彩葉なら受かるだろうと思って」


「…ありがとう。すごい嬉しい」




何気ない一言を覚えてくれていたこと、私なら受かると信じていてくれたこと、わざわざ買いに行ってくれたこと全部が嬉しかった。



ちゃんと、宙翔は私のことを考えてくれていた。




「ただいまー。あら、彩葉ちゃんもう来てたの?いらっしゃい」




なっちゃんが帰ってきて、宙翔とはそこで会話が終わった。
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