バレンタインチョコと四人の恋
依茉ちゃんはそう言うと、笑顔で教室を出ていった。



依茉ちゃんみたいに真っ直ぐ気持ちを伝えられる人に、俺もなりたい。


そう思わせてくれた依茉ちゃんの気持ちに応えられないのは、少し苦しかった。





「百瀬さん?」


「あ、来たのね碧山くん」




生徒会室には百瀬さんしかいなく、てっきり煌良たちもいるのかと思っていたから、少し不思議に思う。




「用事って?また何か手伝うことがあるの?」


「いいえ、違うわ。今日は話があって来てもらったの」




百瀬さんは立ち上がると、机の上に置いてあった小さな箱を俺に差し出してきた。




「私、碧山くんが好きなの。私と、付き合ってください」


「…え?」
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