バレンタインチョコと四人の恋
「あ、碧山くん…?」


「どうしたの?…泣いてるの?」




今にも溢れそうなくらい目いっぱいに涙を溜めている初音さんに、少し顔を近づける。




「あ、えっと…」




その手にはラッピングされた袋が握られていた。




「それ…」


「え?」


「誰かに、渡すの?」


「…ああ、えっと、渡そうとしたけど、できなくて…」




だから、泣いていたの?


それほど好きだということが初音さんから伝わってくる。




「渡せなかったんなら、それ、俺にちょうだいよ」


「…え?」
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