バレンタインチョコと四人の恋
「あの日から、俺はずっと初音さんが好きだったんだ」
*
あれは、俺が六歳くらいの時だった。
母さんと些細なことで喧嘩をしてしまい、家を飛び出し近くの公園で泣いていた時のこと。
「ねえ…どうして泣いてるの…?」
涙でぐちょぐちょな顔のまま顔を上げると、俺と同い年くらいのボブの女の子が、恐る恐るといった様子で俺を見ていた。
「…母さんと、喧嘩したんだ。母さんはすぐ俺のことを怒るんだ。だから言い返したら、もっと怒られて…。もう、家になんて帰りたくない」
「でも、それじゃあお母さんが心配しちゃうよ…?」
「心配なんてしないよ。母さんはきっと俺がいない方が嬉しいに決まってる」
いじけながら近くにあった小石を蹴飛ばす。
「お母さんがそんなに怒るのは、あなたを大事に想ってる証拠なんだよ」
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あれは、俺が六歳くらいの時だった。
母さんと些細なことで喧嘩をしてしまい、家を飛び出し近くの公園で泣いていた時のこと。
「ねえ…どうして泣いてるの…?」
涙でぐちょぐちょな顔のまま顔を上げると、俺と同い年くらいのボブの女の子が、恐る恐るといった様子で俺を見ていた。
「…母さんと、喧嘩したんだ。母さんはすぐ俺のことを怒るんだ。だから言い返したら、もっと怒られて…。もう、家になんて帰りたくない」
「でも、それじゃあお母さんが心配しちゃうよ…?」
「心配なんてしないよ。母さんはきっと俺がいない方が嬉しいに決まってる」
いじけながら近くにあった小石を蹴飛ばす。
「お母さんがそんなに怒るのは、あなたを大事に想ってる証拠なんだよ」