バレンタインチョコと四人の恋
「…え?」


「私のお母さんが言ってた。お母さんが私のことを小さなことでも怒るのは、私が大切だから危ない目にあってほしくないし、ダメな子になってほしくないからだって。だから、大丈夫だよ。あなたのことが嫌いなんじゃない。大好きなんだよ」




俺は、何かとても大切なことを教えてもらった気がした。


そんなこと思いつきもしなかったし、知らなかった。



だけど名前も知らない女の子に、大丈夫だと言われ、本当に大丈夫な気がしてきて不思議だった。




「…俺、母さんと話してみる」


「うん!それがいいよ。…あ、そうだ。あなたにこれあげるね」




はい、と言って女の子に小さな何かをもらった。


それは金の包み紙のチョコレートだった。




「今日はバレンタインだから、あげる」


「バレンタイン?何それ?」


「女の子が男の子にチョコをあげる日」
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