うそつきな唇に、キス
「昔、世界一強力な拳銃だと言われていた回転式拳銃の新しいモデルで、その座がその拳銃に取られたんでしたっけ」
「……お前、」
「もうひとつは、たぶんグロック19ですよね。日本のSAT部隊も使ってるっていう。特徴としては、軽量だとか、メンテがしやすいとか、あと射撃精度が高いなんてのもありましたっけ」
にこやかに笑いながら言うと、なぜだか赤髪の人にまで驚いたように振り向かれてしまった。
黒髪の人も、顔や雰囲気に似合わず目を何度もぱちぱちさせていた。
「……?なんですか?」
「……お前、なぜおれが持っていることがわかった?」
「さっき立ち上がった時にちらりと見えたので」
「……銃の種類は、」
「昔見た写真と同じでしたので」
驚くことなんてそんなにあっただろうかと思いながらふたりを交互に見やっていれば、そのふたりは互いに目配せし合って、同時にため息をついた。
「……若。これはとんでもない拾い物をしましたね」
「訳アリ家出有能箱入り少女は設定が渋滞しすぎだ」
「わたしもしかしてバカにされてます?」