うそつきな唇に、キス
「……はい?」
「え?」
「へっ?」
見事に、三人が別々の間の抜けた声を上げた。
けれど、不思議なことにみな表情は一緒で。
目をぱちくりさせたのち、すぐさま真意を読み取らせない無表情に早変わりする。
「……える様。失礼ですが、そう仰る根拠はおありなのでしょうか。証拠もナシにうちの者を捕らえるおつもりならば、こちらもそれ相応の手段に出ざるおえないのですが」
「もちろん、それを断定する根拠である証拠はございます。現在不当にではありますが、持ち出させていただきましたし」
にこにこ、受け取っている側からしてみれば、ひどく薄気味悪い笑顔を継続したまま、視線を相模さんから、隣の彼へと移した。
「なので─────大人しく投降してもらえると、大変ありがたいのです」
わたぬきさん。
そう呟いた直後、部屋の空気は凍りついた。