うそつきな唇に、キス





「────える様」

「……あの、無理に堅苦しい口調にしなくても大丈夫ですよ」



ぽちぽち、琴に終わりました、と玄関に座って連絡していたら、ふと背後から声をかけられた。

後ろを振り返ると、そこにはなぜか玄関で正座をしている七宮さんがいて。



「本日の度重なる無礼、誠に申し訳ありませんでした」

「えっ?……あ、えと、その、謝罪は結構です。気にしてませんので」



もう土下座なみに頭を下げられた。頭床に擦り付けてるんじゃないかと思うくらい。



「える様の温情、オレ、……いえ、祐庵会は生涯忘れません」

「ええ……というか、あの、まだ口利きも出来てないので、それは通ってから再度考えてもらって……」

「……あの。なぜ、自分たちに今一度機会を与えようとなさったのか、お伺いしてもよろしいでしょうか」



恐る恐る顔を上げた七宮さんは、まるで罪状を読み上げられる前の罪人みたいな顔をしていた。……わたし、そんなに怖い顔してるかなあ。

改善したはずなんだけれども。



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