うそつきな唇に、キス



すん、と一瞬自分のブレザーを匂った若サマだけど、鼻が血生臭い匂いに慣れてしまったのか、どうやらわからなかったらしく。

ぽいっと、ブレザーを後ろへ適当に放り投げていた。



「疲れただろう。初仕事で早速手柄をあげたな」

「手柄……で、いいんでしょうか」

「いいに決まってるだろ!えるはもっと誇っていい!何せこの若が珍しく手放しで褒めてんだから!」

「え、わたし手放しで褒められてたんですか……?!」



これには本気で驚いた。

全然そんな雰囲気感じなかったけど……。若サマも表情変わってないし。



「琴吹の時は、舐められて終わっていたからな」

「え、あ、……なんというか、ご愁傷様です」

「あれは割り振った若が悪いだろ!新人の俺にはキツすぎる案件だったっつーの!!危うく指詰められるところだったわ……」

「指詰めるって、割と時代錯誤もいいところじゃないですか?そのあたりって改革進んでます?」

「今は指ではなく、首が主流になってきている」

「命に直結ですか……。それじゃあ下手なことはできませんね……」

「なにほのぼのとすげえ物騒なこと話してんだふたりは!!!!」



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