うそつきな唇に、キス
ライアー / Ring
ꄗ
どさ、と。嫌な音が響いた。
ふらふら、足元がふらつく。踏み慣れない、履き慣れない物を履いていたから、かもしれないけど。
急いで、それはもうわたしに出せる全速力で駆けていこうとした。
けど。
「ちょ、える!ちょっと待てって!少し落ち着け!」
「は、離してください!というか、なんで琴はそんなに冷静でいられるんですか?!」
「慣れてるからだよ!っつーか、そんな事を急いても変わんねえよ!」
琴に腕を掴まれて、立ち止まらざるおえなくなった。
はやく、行きたいのに。行かなきゃいけないのに。
あそこに、あの────
「海初めてでテンションぶち上がんのはいいけど、まずお前の荷物運び込んでからな?!」
「早くあのスカイブルーの海にダイブしたいです!!」
「………あついな」
「あーもう三者三様がすぎるだろうがこの面子!!!」
本日、夏休み真っ只中。
なぜか今日から一週間、辺鄙な土地にある若サマのプライベートビーチで、思いっきり羽目を外すことになりまして。