うそつきな唇に、キス
ライアー / Ring





どさ、と。嫌な音が響いた。


ふらふら、足元がふらつく。踏み慣れない、履き慣れない物を履いていたから、かもしれないけど。


急いで、それはもうわたしに出せる全速力で駆けていこうとした。

けど。



「ちょ、える!ちょっと待てって!少し落ち着け!」

「は、離してください!というか、なんで琴はそんなに冷静でいられるんですか?!」

「慣れてるからだよ!っつーか、そんな事を急いても変わんねえよ!」



琴に腕を掴まれて、立ち止まらざるおえなくなった。


はやく、行きたいのに。行かなきゃいけないのに。

あそこに、あの────

















「海初めてでテンションぶち上がんのはいいけど、まずお前の荷物運び込んでからな?!」

「早くあのスカイブルーの海にダイブしたいです!!」

「………あついな」

「あーもう三者三様がすぎるだろうがこの面子!!!」




本日、夏休み真っ只中。


なぜか今日から一週間、辺鄙な土地にある若サマのプライベートビーチで、思いっきり羽目を外すことになりまして。



< 135 / 217 >

この作品をシェア

pagetop