うそつきな唇に、キス
「……琴吹、用意しておかなかったのか?」
「えるにも好みがあるだろ……」
「いえ特にはないです」
「………、」
「おい若、俺に〝ほら〟って顔向けてくんじゃねえよ!!える遠慮しなくていいからこの際欲しいもん10個ぐらい言っておけ!多少高価でもコイツなら難なく買える!」
「ええ……でも本当にないんですよ」
「俺の周り物欲ない奴多すぎだろ!!!!」
ばたばた荷物の片付けに追われる琴は、なんというか、本当に側近というよりもお世話係だよなあ、と再認識してほっこりしてしまう。怒鳴られてもなお。
「というか、それならわたしの下着勝手に買ってくるなという話になってくるのですが」
「それはその道のプロに選んでもらったのを受け取ってるだけだから!別に俺の好みとかじゃないからな?!?!」
「あ、それでこの前脱衣所で鉢合わせた時にびっくりして固まってたんですか」
「人のこと観察する暇あるならさっさと服着ろ!!!!お前に羞恥心はないのか?!」
「たぶんないです」
「なら育め!!!」
「………若サマ、だんだん琴の言ってることが支離滅裂になってきてるんですが……」
「いつものことだ」