うそつきな唇に、キス





「……琴吹」

「だーからっ、ぜってえ俺のせいじゃねえって!そもそもえるに小遣いやるのはお前の仕事だろーが!さすがに小遣い管理まで俺の管轄だとは思わねえよ!」

「こ、琴もどうどう」

「えるはこれ一番怒っていいヤツだからな?!」

「えっ、これわたし怒るところだったんですか?」

「……まあこの天然に金渡したところで何も買いはしないか……」

「今すごい馬鹿にされた気がするのですが」



わたしの懐にお金が一銭もないことを知り、片付けを秒速で終わらせた琴と財布担当である若サマが、一緒についてきてくれることになった。

……3人でどこかに買い物に行く、っていうシチュエーションは、何気に初めてかもしれない。



「……いや、一応お前の銀行口座は作ってある。おつかいの駄賃分も振り込んだ」

「で?その存在をえるに知らせていなかったと?引き出すのに必要な物諸々未だ渡さず?」

「……渡すタイミングがなかっただけだ」

「じゃあそれ持って来いよ!!」

「あの持って来られても引き出し方わたしわかりません」

「ああもうままならねえなあ!!!!」



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