うそつきな唇に、キス
「若サマも一緒にどうですか?」
「……海の楽しみ方がわからない」
「大丈夫です。わたしもわかりません!」
「……胸を張って言えることではないのは確かだな」
黒の海パンと同色のラッシュガードを羽織った若サマの肩には、服と雰囲気、それに場所に似合わないホルスターが装備済み。
もちろん、その中には種類が違う二丁の拳銃がおさまっている。
「あれですよね、海に来たらまずサーフィンするんですよね」
「待てその情報は一体どこから仕入れた」
「……?テレビです」
「……………おい、琴吹」
「その常識知らずな天然バカは若の拾い物だろーが!!」
「……テンネン、ですか?」
「ほら!!!この天然がまるでわかってないような顔はガチモンだって!!!」
琴がわーぎゃー騒いでいるのを横目に、それよりサーフボードはどこですか?と聞いたわたしの目は、あとから聞いた話によると、ものすごくキラキラ輝いていたらしい。