うそつきな唇に、キス
くわっと、琴が拘束するのもそっちのけで聞いて来るから、かわりにパパパッと急いで手足を縛り付ける。
「え、あの、若サマに勝手に使って大丈夫ですかねって聞いたら、別にいいだろって言ってたんですけど……」
「若了承済みかよ!!!」
だったら俺にも伝達しろ……、と項垂れる琴に、また変な気苦労をかけてしまったらしい。
いつか心配のしすぎでぶっ倒れそう。
「はあ、まあわかった。じゃあ、その包丁どうした?」
「……え、素潜りに使ったの、料理するのに使います……?」
「使いたくはねえけど、所在ははっきりさせときたくて」
「ゴミ箱にポイしました」
「だ!か!ら!それは俺に伝えろ!!!!報連相は常識だろーが!!!!」
「ふ、ふみまへん」
そう言って、ほっぺたをぐにぐに引っ張って来る琴に軽く謝ったあと、縛り付けた3人を転がしたまま立ち上がった。