うそつきな唇に、キス
それに、さっき和風家屋を見たからか、洋館もこの人とはアンマッチして見える。
「……それより、名前はなんと呼べはいいでしょうか」
「あ、そーいえばそんな話してたな。……おい若。お前の呼称の話してんだぞ。もっと関心持て」
「えるが決めろ」
「今度はえるに丸投げかよ……」
もともと鋭い目つきをさらに研いで、黒い背広にため息をぶつける琴は、わたしへと視線を落として眉を下げた。
……この人って、もしかして、そういうサガなのかな。
「だとよ。える、お前が決めていい。決定権は、現時点ですべてお前に渡った」
「……わたし、ネーミングセンスないかもしれないですけど、それでもいいですか?」
「お、ならニャンくんとかにでもするか?」
「その名でおれを呼べば、確実に舌はなくなるな」