うそつきな唇に、キス
「え、えるおま、何言って、」
「言うじゃないですか。目には目を、歯には歯を、って。だから褒めには褒めを、と思いまして」
この時、不名誉ではあったが、初めて3人の思考がシンクロした。
やっぱりえる、思考回路がおかしい、と。
「あと、思い返してみたら、カッコいいとかたぶん言ったことなかったなあ、ってことにふと気づいたのもあります」
「ふと気づいたからって言うな?!」
「でも御三方をびっくりさせられたようなので、わたし的には満足です。仕返しもできましたし」
「仕返しがてら爆弾をぶっ込むんじゃない!」
ぎゃんすかいつものように吠える番犬と、いつものように頬をつねられる上辺の婚約者以上、側近未満の人間。
そして軽い謝罪をしてはいるものの、表面に浮かべているその笑顔は、たかが浮かべているものでしかないことは、この場にいるすべての人間が知っている。
「……えるちゃん、僕らのコと、かっこいいって思ってくれてたん?」
「え?あ、はい。それはもちろん。世間一般で言うところのイケメンだとは思ってました。ひとりひとりパーツの形は違えども、とても整っておいでだなとも」