うそつきな唇に、キス
なんの意図も持っていないであろう言葉。
それが余計に羞恥を煽るのだと、彼女は理解していなかったらしい。
「……え、わたし何かおかしなこと言いました?確かに顔が整っている、というよりは怖いという印象を強く抱きやすいと思いますが、でもそれは若サマの瞬きの回数が少ないから人形染みて見えるせいだと思いますし……。あと御三方、目がしんでるのも理由として挙げられると思いますよ」
「いきナりディスるやん」
「でも、それぞれ美少年……では約1名ないですけど、それでも美男子だとは思って、」
「わかった!!!わかったからもう喋るな!!!」
「し、仕返しがえゲつないカウンターやった……」
番犬に真っ赤な顔で口を塞がれた彼女は、きょと、と己の口を塞いだ人間と、椅子に跨ったまま頭を抱える男を見遣った、のち。
ひとりだけ、なんの反応も示していない人間を見つめた。
「……若サマ、わたし、そんなに変なこと言いました?」
「変、と言うよりは、どちらかというと奇妙だな。お前らしくない言葉の数々だっただろう」
「……わたし、別に今回は嘘ついてませんよ。というか、好きでもない人たちと一緒にいるほど、わたし物好きじゃないです」
その、またもやの爆弾発言に、4人の周辺の空気が一気に凍りついた。
「…………あの、わたしまた何か問題発言しまし」
「え、えるちゃん僕のこと好いトーと?!?!?」
「へ、……まあ、苦手よりの好きです、かね。嫌いなタイプの人じゃないです」