うそつきな唇に、キス
……残念ながら、ここには相応の設備も、備品も、いろんなものが足りていない。だから、ありあわせのもので、無理矢理にでもするしかないのだ。
「……若サマ、本当にごめんなさい。あとでいくらでも謝ります」
若サマの背中を支えて上体を起こし、唇を拭いて、謝ってから。
ペットボトルの水を一気にあおって。
────そっと、その薄い唇に、口づけた。
何度も、何度も、何度も、何度も。
若サマの唇から水が垂れようが、咳き込もうが、無理矢理にでも飲ませた。
そして。
「う、……ぐっ、ぁ、」
吐かせる。
喉の奥に指を突っ込んで、本当に無理矢理。
それを、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、幾度も繰り返して。
止めたのは、玄関を破る勢いで入ってきた、闇医者さんが来てからだった。