うそつきな唇に、キス
……やっぱり、そうだったんだ。
なんとなく、そうなんじゃないだろうかとは、思っていたけれど。
でも、なんで外してるんだろう。
……わたしが一番、手袋をつけて接触しなければいけない人間のはずなのに。
「とりあえず、今は出来うる限りの最善の手で命を繋いでる。若、あれで毒には耐性あって、体も強いからな。けど、青酸カリ服用時の毒抜きの手法試すのはリスクが高いんじゃないか、って話をいまされたところ。薬が毒になる場合もあるからな」
「……それで、身動きできない状態にあるんですね」
「まあそういうことだ。若の命はあと一日は絶対繋げるってあの闇医者言ってたから、えるは一旦寝ろ。その感じだと、さすがのえるも毒は専門外だろ?今日……や、もう昨日か。ひとまずお手柄だった」
ぽん、と。わたしの頭に手を置いて、ひらひら手を振りながらどこかへ行く琴の背中に、自然と声を飛ばしていた。
「あの、琴はこれからどうするんですか?」
「あー、俺も一旦シャワー浴びるわ。若運ぶ時汚れたし。その後は闇医者の補助でたぶん徹夜だな。えるは休める時に休んどけよ」