うそつきな唇に、キス
ついでに、なんだか呆れたような顔もされてしまった。解せない。
「あの格好のままではわたしは風邪を引いたままでしたでしょうから、お礼を言うのは当然です。責める道理はどこにもないですよね?」
「……頭でそうわかってても、できないのが人間だと思うんだけど。これ俺間違ってんの?」
琴が悩ましげに疑問を呟いたのと時を同じくして、体温計のアラームが鳴った。
「……36.9です」
「んー、微妙な数値だな。あと1日は安静にしとくか」
「……すみません。わたしって、何日眠ってたんですか?」
確か、倒れる前はひどい高熱だったはず。それが一日程度で治るわけがない。とすれば、何日か経過しているのは間違いないのだけど。
わたしの質問に答えてくれたのは、またまた琴の隣で立ったままわたしを見下ろしていた若サマだった。
「4日半というところだ」
「そんなに……」