うそつきな唇に、キス
ꄗ
「すみません、遅くなりました」
「いや、十分はや……、って、えるおまっ、ちゃんと髪の毛をドライヤーで乾かせ!!」
「え?」
ばたばた急いで体を洗い流してリビングへと走って行ったら、出会い頭に琴から怒鳴られた。
服や下着のサイズがぴったりだったのにもびっくりしたのに、また脅かさないでほしい。
「いえあの、でも、お待たせしちゃいけない、ので」
「いくら待たせてもいーんだよ!女子は時間かかんだから!それにまだ病み上がりの病人だぞ!」
俺が取ってくるからさき飯食ってろ!と忙しなく出て行った琴を他所に、若サマは優雅に朝食を食べ始めている。
そして、重厚なテーブルからは、ひどく香ばしくいい匂いが漂っていた。
「……そこに座れ」
「あ、はい」
くいっと、顎で若サマの前を指定され、わたわたと席につく。その前には、しゃんと整えられた具沢山な料理が並んでいた。