うそつきな唇に、キス
ꄗ
「すみません、遅くなりました」
「ちょっとアンタ!!一体この時間までなにしてたのよ!!もうすぐ昼休みがアンタのせいで潰れんだけど?!」
「ごめんなさい。お昼ご飯食べてました」
「この……っ!!」
遅れてきたにも関わらず、相手の癪に障るような太々しい態度を続けていたら、羽津さんが掴みかかってきた。
……けれど。
ぽん、と。彼女の肩に、まるで宥めるように小さな手が乗った。
「もう、みなみったら。ほんと怒りっぽいんだから。こんなんじゃ、ロクにお話もできないじゃない」
「あ、ご、ごめんなさい、奈七さん」
……榊奈七。このグループの、所謂リーダーと呼ばれる存在。
終始笑顔が浮かんではいるけれど、全然友好的に接しようとしている気はしない。羽津さんのことを最初から制止していなかったのがその証拠でもある。
……まあ、それもこれも、アルファのある種の強制力に自信を持っているゆえ、なのだろうけれど。