うそつきな唇に、キス
「えっと、別に彼女たちに何かをされたわけではなくて。ただちょっと、貧血なだけです」
「だろうな」
即座に返ってきた返事に、思わず首を捻った。
「……何が、だろうな、なんです?」
「お前は簡単に自分を殴らせるような性格はしていないだろう?おれを初対面で引きずり倒すほどの度胸を持っているのだから」
「もしかしてそれ根に持ってます?」
意外とこの人根に持つタイプなのかな……と、イメージとの乖離に驚いていると。
「える!とりあえずティッシュで拭け!!!」
「あ、はい」
バタバタと忙しない音をたてながら、琴がやってきた。
「止血の方法はわかるか?」
「わかります」
「そうか。すぐ止まれば保健室には行かなくてもいいだろうが……、っつーか、なんで血ぃ出てんの?」
「ただの貧血です」
「………いや、鼻血が止まらないあとに貧血がついてくんじゃなかったっけな……」