うそつきな唇に、キス
わかりました、と頷いたはいいものの、さてどうしよう。
迎えもそうだけど、いちばんはやっぱり学校生活。
アングラクラスはその特殊性ゆえに一学年ひとクラスという構成になっていて、わたしに絡んでくることはかなり容易いし、それは学年の壁があっても同じ。
こういうことはこれから頻繁にあるだろうし、その度に対処するの、少し面倒だなあ。
……なんて思っていたことが、顔に出ていたのか。
ぽつり、と。若サマが小さな声を落とした。
「……少々癪ではあるが、お前用にひとり協力者を用意している。もし今後、おれや琴吹がお前の近くにいない場合は、そいつを頼ればいい」
「協力者、ですか」
まるで、他人を信じなさそうな人から、協力者、なんて言葉が出るなんて。
「……なんだ。その何か言いたげな顔は」
「いえ、なんでもないです。それにしても、その人よく引き受けてくれましたね?」
若サマが待つ2階へ上がるため、琴と一緒に歩き出した時。
「……あいつが、お前のことを気に入りそうだからな」
そんな言葉が、ぽつりと雫のように降ってきた。