うそつきな唇に、キス



濡れ衣も甚だしい言い分に、胸ぐらを掴んだまま抗議すれば、そうならない保証がないと一蹴されてしまった。



「……さて、どうする?」

「………、」



赤髪の人はいまだどうするべきか悩んでいるし、目の前の人はすぐに表情を読み取らせない真顔へと戻ってしまう。

真意は見えないまま。……ううん、見えなくていいのか。



「……わたしは、大嘘つきですよ。それでもいいんですか?」



最後の保険だった。

わたしはこれから匿ってもらうにあたって、多大なる嘘をつくのだろう。恩を仇で返すような愚行だ。

それを許容しかねるのなら、この話はそもそも成立しない。だから、わざわざそう聞いたのに。



「ならば、おれも嘘にて対抗するだけだ」



ふっと鼻で笑って一蹴されてしまえば、もうわたしにはどうしようもなかった。



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