うそつきな唇に、キス
ライアー / Collaborator
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「……ン?若クんやないか。なんかヨうか?」
出会い頭に聞いたその一言だけで、いろんなことを理解した。
若サマたちと一緒に戻った誰もいない教室。そこに、わたしが校舎裏に行くまでいなかった人が、窓に片膝を立てて座っていた。
日本人とは少し顔立ちが違う整った容姿。右耳には異常な数のピアス。
こちら側の人間にしては、目元は垂れ、柔和な笑みを始終浮かべている、やさしそうな面立ちをした男の人だった。
そして、これは誰にでも共通なのか、同年代とは思えない雰囲気を醸し出している。
「……って、ナんやその子?えらい別嬪サんやけど」
気だるげな口調ながら、やさしげな笑みをたたえているせいで、どこかちぐはぐな印象を抱く。
……そして、この人が己の苦手なタイプだということを、直感で感じ取った。
「僕がおラんようなっとった2ヶ月の間で、編入してきた子かいな?」
ずいっと顔を近づけられて、思わず一歩後退りそうになった。