うそつきな唇に、キス
ふと、近づいて気づいた。
その人の肌色に溶けるように、白い蔦柄のタトゥーが左の眉から涙袋にかけて入っていたのだ。
一見すると、傷跡に見えなくもない代物。
「……ああ、コれが気になってんのな」
すっと自分のタトゥーをなぞったその人は、ゆるりと目尻を緩めて。
「これはなア、そこの若くんと似たような意味で入れてんの。……それにしても、若くんの隣にいるっちゅーこトは、若くんの新しい従者かいな?」
ごくごく自然に左手首を掴まれそうになって、思わずパッと上に避けてしまった。
まさか避けられるとは思っていなかったのか、目をぱちくりさせたその人は、するりとシャツの袖が落ちて見えるようになった左手首を流し見る。
「……あレ。タトゥー、入っとらん、……っちゅーことハ、きみは若くんの従者ちゃうん?」
こてり、首を傾げた瞬間、さらりと鎖骨まである髪の毛が落ちて、ピアスまみれの右耳が顕になった。