うそつきな唇に、キス
「うん、よろしュう。ほんジゃあ、さっきえるちゃんに名乗ってもろうたんやけ、僕もそろそろ名乗らなあかんな」
そう言って、その人は握手をした手をぶんぶん振り回しながら、にこりと笑って言う。
「改メて、僕は喵睿霸っちゅーもん。あ、喵が苗字やけん、注意シてな。あと、薄々……っちゅーか、もう気ヅいてはると思うんやけど、僕は中国からの留学生やけん」
「…………え?」
「ン?ドないした?」
「あ、いえ、その……」
大したことではない、んだけど。
「フルネームで名乗られたの、初めてだな、と思いまして……」
「ああ、こっチの奴は、基本自分の情報となることをほとんど話さへんからなあ」
「あれ、じゃあなんであなたは……」
「喵でええヨ。睿霸でもルイでも、えるちゃんが呼びやスいやつならなんでもかまへん」