うそつきな唇に、キス




喵さんは、にこり、と笑って腕を振るのをやめた。



「えるちゃんが、ごっツおもろい子やったけ。それ以上の理由、なンか必要かいな?」

「……いえ」



ふるふる、と首を横に振って、小さく息を吸う。

そんなことよりも、出会った時からずっと引っかかっていることがある。



「………あの、ひとつ質問、いいですか」

「ン?ええデ」

「えっと……その、中途半端、というか、いろんな方言が混ざった関西弁は、なんなんでしょうか」



喵さんが使っている関西弁は、確かに関西の方言なのだけど、それにしたっていろんなところの方言が混ざりに混ざっているのだ。

どれもこれも中途半端で、正直ちょっと混乱する。



「あア、また出てもうてたか。もともと僕が日本に来始めた時によく行ってたんが、関西圏でナあ。それで、いろいろ混ざってもうてんネん。こっちに来てから、標準語になオそ思うてたねんけど、なかなかうまくいかへんでなあ」



京都弁やら、博多弁やら、大阪弁やら。

いろんな地方の方言が混ざっていたのには、そんな理由が。



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