うそつきな唇に、キス
そこで、またふつり、と好奇心に似た何かが胸の内から迫り上がってきた。
「あの、もうひとつ、質問いい、ですか?」
「えエよええよ。えるちゃんになら、なに聞かレても怒らへん」
そうは言っても、なんとなくこの世界の人たちの逆鱗に触れるようなものだと思うんだけど……。
ちらり、と若サマを仰ぎ見て、まあこの人がいるからなんとかなる、と自分を無理矢理納得させた。
「では……失礼かと思いますが、もしかして喵さんは、中国系マフィア丽宸会の若頭さんじゃないですか?」
半分ほど若サマの後ろに隠れて、窺いながら核心を突くと、握られた手にほんの少しだけ力が込められた。
あ、これはマズいやつだったのでは?と急いで手を引っ込めようとした、ら。
「……なあ、若くン。この子、ほんまにこッちに介入してきて2ヶ月経ってんの?出会ってこんな短時間で僕のこと言い当てられたの初めてなんヤけど」