うそつきな唇に、キス



「まだえるちゃんと話したりナかったんや。別にええヤろ?」

「全然よくないんですけど……」



さっきから、わたしのスマホの着信が途切れてないのをわかって言っている。この人は。



「出えへんノ?」

「ちゃんとメッセージを送ったので大丈夫です」

「せやけど、こっちじゃそれがえるちゃん本人から送らレてきたのとは限らんからな。声聞いて無事を確認シたいんやろ」

「……ああ、なるほど」



でも、ここで通話に出るのは危ない気がして、無視は続行。

そしたら、喵さんに顔に似合わズ鬼畜やな〜、とけらけら笑いながら言われてしまった。


これは議論の余地があると思う。



「それにしテもえるちゃん、ほんまこっちに来て一週間足らずとは思えんほどの知識量やな。僕でもびっくりするワ」

「それは……どうも」

「今までどコに隠れて何しとったん?」

「……わたしにもよくわかりません」

「うわア、またはぐらかされたわ」



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