うそつきな唇に、キス



い、いや、若サマのことだから、何か意味があるんだろうなとは思っていたけど……。



「えるちゃんて、予想外のところから来られてもうたら対処できヒんタイプの人間なんやな」

「ち、知識の中にないことはちょっと危うい、かもです……」


痛いところを突かれてしまった。

わたしはわたしの知識だけが頼りなところがあるから、死角から来られると対処できない。



「えるちゃんって、ナんや中途半端やな」

「中途、はんぱ……?」

「だって、ソやろ?知識はあんのに、常識がなイ。方法は思いつクのに、経験がない。ちぐはぐもいいとコろやん」



その指摘は、的を射ていた。射すぎているほどに。



「……まあ、わたしがいたところが、常識が通じないところでしたので。経験は、微塵もないわけじゃないんです。いちお、車全般運転できますし」

「……ン?えルちゃん、僕らと同い年やろ?それなのに運転でキんの?」

「はい。させられたので」



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