うそつきな唇に、キス
大型車も、重機も、バイクも運転できる。但し、免許は持っていないけれど。
「……えるちゃん、ほんまおもろい子やなア。偏りが激しすギやて」
ころころ表情を変えていろんな顔で笑う喵さん。
……そんな姿がなんだか新鮮で、思わず見惚れてしまった。
「ン?僕の顔になんかついトるか?」
「あ、いえ……、わたしの周りには、そんなにいい笑顔で笑う人、あんまりいなくて。ちょっと呆けてただけです」
「ああ、あの若くンは堅物やし、右腕くんはオカンやしなあ。仕方なイか」
くつくつと、また思い出して笑い始めた喵さん。
……もしや、この人の笑いの沸点が低いだけなのかな?
そんな、不本意ながらも和やかムードが漂っていた時。
こんこん、と。二度、運転席と後部座席を仕切る黒い板が叩かれた。
「……少爷、我们到了」
「えエ、もうかいな。時間経ツの早いなあ」