うそつきな唇に、キス
Liar / テスト





「……ちょ、ま……」

「え、エるちゃん……」



琴と睿霸が、揃ってわたしを化け物でも見るかのような瞳で見下ろしていた。


……や、詳しく言うと、わたしが持っている、体力テストの記録が記されたプリントを、だったけど。




「……なあ側近くン。この数値、女子の普通じゃありえへんヨな?」

「あり得るわけないじゃないですか……。俺今のところえるに全敗中なんですが……」




現在、体力測定の授業にて。


わたしの体力測定の結果に、関係者一同がざわついておりまして。



「でも、睿霸には結構負けてますよ。若サマに至っては全敗中ですし」

「いや、負けてるっちゅー言うてもほボ五分なんやけど……」

「………反射神経ではおれもお前には負けているが」

「えっ」



慌てて若サマのプリントに記載されているスコアと、自分のスコアを交互に見比べる。

あ、ほんとだ。僅差だけど、勝ってる。



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