うそつきな唇に、キス
「そーソー。えるちゃん、そもそモのポテンシャル高すぎなんやて。言うとくケど、男子と女子の平均はちゃうんやからな?」
「さすがにそれくらいわかります」
わたし、どれだけ常識知らずな奴に思われてるんだろう。
わたしを囲む男子三人衆を、遠巻きに見つめる者、嫉妬と欲望を孕んだ目で見る者、憎悪を抱く者、人それぞれな色を映している。
……わたしは、ハタから見ると、どう映っているんだろう。
仲が良さげに見えているのだろうか。
もしくは─────、
「……この分だと、琴吹の付き添いは不要そうだな」
「え、あ、そう、なんですかね」
唐突に落とされた言葉で、泥沼に落ちかけていた思考が引っ張り上げられた。
若サマを見上げると、相も変わらず無機質な瞳でわたしを見下ろしている。
出逢った時に見せた、ほんの少しの揺らぎは、もう見ることはできないのだろうか。
「また俺が本家からどやされる……」
「ご愁傷様です、琴」
「………なあえる、もうちょっと手を抜いてくれるとか、」
「えええ……、それをしたらたぶん今度は若サマに怒られますよ」
「くっ……!!」