うそつきな唇に、キス
ꄗ
─────なんてことがあって。
時は過ぎ去り、放課後。
「あの、制服のまま行っても大丈夫なところなんですか……?」
「今はお前を派遣することに重きを置いているからな。おれが新たに拾った人間だということが、その制服ですぐにわかるだろうから問題はない」
「なるほど」
車の中にて。隣の若サマによる、質問兼説明会が開かれていた。
己の武器は無駄にポテンシャルが高い体と、特異体質、加えて若サマと琴に直通で繋がるスマホだけだから、よく聞いておかなければ。
「えっと、あとちゃいむ?を鳴らしたあと、なんて言えばいいですか……?若サマから派遣されてきた人間、とかですかね」
「……いや」
その時、初めて若サマが言い淀むような間を落とした。
いつも間があっても、それはこの人の特性であるゆったりとした雰囲気があってのものだったのに、今回は一度溜めたのだとわかるもので。