君にホワイトブーケを贈ろうか
───3月。
終わりの季節。始まりへ向かう季節。
終わりたくない、季節。
───「真白先輩!」
教室の前方から、他でもない俺を呼ぶ声がした。
声のしたほうへ顔を向けてみれば、話したことも見たこともない女の子がそこに立っていた。
……俺もそこまで鈍くない。3月1日、卒業式当日。
式が終わって、教室で最後を過ごす時間。面識のない女の子が俺を訪ねてくるなんて理由は一つしかない。
今日は何度、この言葉を言えばいいだろうか。
俺だって好んで言っているわけではもちろんない。